第29回東京国際映画祭で注目のフィリピン映画
今年もアジアを代表する国際映画祭「第29回東京国際映画祭(29th Tokyo International Film Festival)」が2016年10月25日(火)~11月3日(木・祝)の10日間、開催されます。会場は六本木ヒルズ、EXシアター六本木をメイン会場に、都内の各劇場および施設・ホールなど。
昨年の「東京国際映画祭」では、「CROSSCUT ASIA」(クロスカット・アジア)部門で、新たな黄金期を迎えたフィリピン映画に焦点を当てた「熱風!フィリピン」として特集上映されましたが、今年も注目のフィリピン映画が相当数、上映されます!
コンペティション部門では、トランスジェンダーのヒロインの笑いと涙に満ちた生涯を描いた『ダイ・ビューティフル』がワールドプレミア上映されます。監督は、フィリピンで最も売れっ子の映画監督の一人と言われているジュン・ロブレス・ラナ。過去、東京国際映画祭でも上映された作品『ある理髪師の物語』でもお馴染みです。
アジア(日本、中東地域を含む)で作られた新鋭監督の1本目または2本目の長編作品を対象にしたコンペティション部門「アジアの未来」では、スリリングなクライム映画『バードショット』、そして米軍基地の兵士だったアメリカ人の父を持つ少女の自分探しの物語『I America』が上映されます。
また、「ワールド・フォーカス」部門では、フィリピン革命期を舞台に3層の物語が入り交じって展開する8時間にも及ぶ長編映画『痛ましき謎への子守唄』が登場。フィリピン映画界の鬼才、ラブ・ディアス監督の新作映画です。
そしてもう1本。国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共同プロジェクト作品『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』が東京国際映画祭でワールドプレミア上映されます。日本の行定勲監督、フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督、カンボジアのソト・クォーリーカー監督という、アジアを代表する監督達によるオムニバス映画です。
トランスジェンダーのヒロインの笑いと涙に満ちた生涯を描いた『ダイ・ビューティフル』
東京国際映画祭の中核を成す「コンペティション部門」でワールドプレミア上映される『ダイ・ビューティフル』は、トランスジェンダーのヒロインの笑いと涙に満ちた生涯を描いた『ダイ・ビューティフル』。
美女コンテストで優勝したトランスジェンダーのヒロインが突然死した後、友人たちは協力して彼女の願いを叶えようとします。その願いとは「埋葬前に幾夜も行われる儀式で、毎回違うセレブの装いをまとうこと」。
友人たちは、ヒロインの一風変わった、それでいて魅力的な一生を思い起こしながら、彼女の願いを叶えようと……。
トランスジェンダーのヒロインの笑いと涙に満ちた生涯が、巧みなフラッシュバックを駆使して感動的に描かれます。苦境をはねのける明るさと、生への肯定に満ちた人物像は、いかにもフィリピン!
主演のパオロ・バレステロスは、フィリピンのバラエティ番組のホスト役などで活躍しており、有名人になりきるインパーソネーター、そしてメークアップ・アーティストとして知られているそうです。
作品紹介 ダイ・ビューティフル - 東京国際映画祭
『ダイ・ビューティフル』予告編
- タイトル
- 邦題:ダイ・ビューティフル / 英題:Die Beautiful / 原題:Die Beautiful
- 監督
- ジュン・ロブレス・ラナ(Mikhail Red)
- キャスト
- パオロ・バレステロス、 クリスチャン・バブレス、 グラディス・レイエス、 ジョエル・トーレ 、他。
- 製作年/国/上映時間
- 2016年 / フィリピン / 120分
- 公式Facebook
- Die Beautiful
『ダイ・ビューティフル』上映スケジュール
- 10月27日(木)17:50~
- EXシアター六本木
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:ジュン・ロブレス・ラナ(監督/プロデューサー/原案)、パオロ・バレステロス(俳優)、ペルシ・インタラン(エグゼクティブ・プロデューサー) - 11月2日(水)21:00~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN9
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:ジュン・ロブレス・ラナ(監督/プロデューサー/原案)、ペルシ・インタラン(エグゼクティブ・プロデューサー) - 料金
- 一般料金:1300円(税込)
- 学生料金:1000円(税込)
- 学生当日料金:500円(税込)
- チケット詳細
※詳細な上映スケジュールは、 スケジュール - 東京国際映画祭にて。
複数の事件による謎が謎を呼ぶスリリングな映画『バードショット』
『バードショット』は、農場の娘が森林保護区に迷い込んでしまい絶滅が危惧されているフィリピンワシを撃ち殺してしまうことから始まります。警察が捜査を開始すると、恐ろしい事件が明らかに……。スリリングな展開を見せる映画です。
『バードショット』は、ミカイル・レッド監督の長編2作目の作品ですが、デビュー作の『レコーダー 目撃者』も2013年の第26回東京国際映画祭「アジアの未来」部門にて上映されています。
なお、ミカイル・レッド監督は、フィリピン・インディペンデント映画界の鬼才と謳われるレイモンド・レッドの長男。
複数の事件の謎が、謎を呼ぶスリリングでダークな味わいを堪能することができます!
作品紹介 バードショット - 東京国際映画祭
『バードショット』予告編&オリジナルポスター
- タイトル
- 邦題:バードショット / 英題:Birdshot / 原題:Birdshot
- 監督
- ミカイル・レッド(Mikhail Red)
- キャスト
- メアリー・ジョイ・アポストル、 アーノルド・レイエス、 ジョン・アルシラ、 クー・アキノ 、他。
- 製作年/国/上映時間
- 2016年 / フィリピン=カタール / 116分
- 公式Facebook
- Birdshot
『バードショット』上映スケジュール
- 10月28日(金)13:50~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN1
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:ミカイル・レッド(監督/脚本/編集)、メアリー・ジョイ・アポストル(女優)、アーノルド・レイエス(俳優)、パメラ・L・レイエス(プロデューサー) - 11月1日(火)20:50~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN1
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:ミカイル・レッド(監督/脚本/編集)、メアリー・ジョイ・アポストル(女優)、アーノルド・レイエス(俳優)、パメラ・L・レイエス(プロデューサー) - 料金
- 一般料金:1300円(税込)
- 学生料金:1000円(税込)
- 学生当日料金:500円(税込)
- チケット詳細
※詳細な上映スケジュールは、 スケジュール - 東京国際映画祭にて。
米軍基地の兵士だったアメリカ人の父とフィリピン人の母を持つ少女の自分探しの物語『I America』
『I America』は、在フィリピン米軍のアメリカ人の父と、フィリピン人の母との間に生まれ少女の自分探しの物語です。
かつて多くの米軍基地があり、フィリピン人とアメリカ人との間に生まれた者たちが多く暮らすフィリピン。父親がアメリカに帰国したまま連絡が取れないケースも多く、いまなお社会問題となっています。
「I America」は、「I Am Erica」とも読める秀逸なタイトルです。
なお、フィリピンのインディペンデント映画の祭典「シネマラヤ映画祭2016」では、最優秀助演女優賞を受賞しています。
作品紹介 I America - 東京国際映画祭
『I America』予告編&オリジナルポスター
- タイトル
- 邦題:I America / 英題:I America / 原題:I America
- 監督
- アイヴァン・アンドリュー・パヤワル(Ivan Andrew Payawal)
- キャスト
- ベラ・パディーリャ、 ロブ・ロウンド、 エリザベス・オロペサ、 ソウ・レイエス、 マット・エヴァンス、 シーナ・ラモス、 ライザ・カフィラス、 ケイト・バウティスタ、 ジョー・バルガス、 ラフレシア・ブラボー、 ルイ・マナンサラ 、他。
- 製作年/国/上映時間
- 2016年 / フィリピン / 106分
- 公式Facebook
- I America
『I America』上映スケジュール
- 10月30日(日)14:45~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN9
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:アイヴァン・アンドリュー・パヤワル(監督/脚本/エグゼクティヴ・プロデューサー)、ベラ・パディーリャ(女優)、ソウ・レイエス(俳優) - 11月2日(水)12:50~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN1
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:アイヴァン・アンドリュー・パヤワル(監督/脚本/エグゼクティヴ・プロデューサー)、ベラ・パディーリャ(女優)、ソウ・レイエス(俳優) - 料金
- 一般料金:1300円(税込)
- 学生料金:1000円(税込)
- 学生当日料金:500円(税込)
- チケット詳細
※詳細な上映スケジュールは、 スケジュール - 東京国際映画祭にて。
19世紀末フィリピン革命期を舞台に、実在の英雄、文学作品や神話のキャラクターが入り交じった驚異の8時間の映画『痛ましき謎への子守唄』
『痛ましき謎への子守唄』は、怪物的映画作家として知られるラブ・ディアス監督の8時間強にも及ぶ大作映画です。
19世紀末フィリピン革命期を舞台に、実在した革命の英雄や、ホセ・リサールの文学作品「ノリ・メ・タンヘレ」「エル・フィリブステリスモ」の主人公イサガニやシモン、さらにフィリピン土着の神話上のキャラクターが入り交じるという驚異の展開。
ラヴ・ディアス監督は、今だ日本では馴染みのない監督ですが、フィリピンの社会的・政治的状況を、驚異的な体力を持って描き出す映画作家として知られています。
世界的にも評価が高く、フィリピンにおけるファシズムの起源を問うような作品『昔のはじまり』(338分/モノクロ)は、第67回ロカルノ国際映画祭(2014年)のコンペティション部門にて国際映画祭大賞(金豹賞)を受賞。
2016年2月のベルリン映画祭では、本作『痛ましき謎への子守唄』が銀熊賞を受賞するなど、数々の国際的な映画祭の賞を獲得しています。
2016年9月には、ラブ・ディアス監督の最新映画『ウーマン・フー・レフト』(The Woman Who Left)が世界三大映画祭の一つであるベネチア国際映画祭・コンペティション部門にて、最高賞である金獅子賞を受賞したばかり。
ちなみに、『ウーマン・フー・レフト』は無実の罪で30年間、刑務所に服役した女性の報復劇! 全編モノクロ、3時間46分の長編映画というから驚きです。言葉がありません。
作品紹介 痛ましき謎への子守唄 - 東京国際映画祭
『痛ましき謎への子守唄』予告編&オリジナルポスター
- タイトル
- 邦題:痛ましき謎への子守唄 / 英題:A Lullaby to the Sorrowful Mystery / 原題:Hele sa Hiwagang Hapis
- 監督
- ラヴ・ディアス(Lav Diaz)
- キャスト
- ジョン・リョイド・クルス、 ピオロ・パスカル、 ヘイゼル・オレンシオ、 アレサンドラ・デ・ロッシ、 ジョエル・サラチョ、 スサン・アフリカ 、他。
- 製作年/国/上映時間
- 2016年 / フィリピン / 489分
『痛ましき謎への子守唄』上映スケジュール
- 10月29日(土)13:50~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN9
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:ヘイゼル・オレンシオ(女優)、ジョエル・サラチョ(俳優) - 10月31日(月)13:20~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN5
- ※登壇ゲストの予定有り。
Q&A:ヘイゼル・オレンシオ(女優)、ジョエル・サラチョ(俳優) - 料金
- 一般料金:2500円(税込)
- 学生料金:2000円(税込)
- 学生当日料金:2000円(税込)
- チケット詳細
※詳細な上映スケジュールは、 スケジュール - 東京国際映画祭にて。
アジア・オムニバス映画製作シリーズ『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』
『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』は、国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共同プロジェクト作品です。
「アジアで共に生きる」(Living Together in Asia)をテーマに、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ、行定勲、ソト・クォーリーカーの3人の監督が、日本とフィリピン、マレーシア、カンボジアを舞台に製作。
それぞれの国の文化や歴史が、登場人物の現在・過去と共鳴する映画となっています。
- タイトル
- SHINIUMA Dead Horse
- 監督:ブリランテ・メンドーサ
- キャスト:ルー・ヴェローソ、他。
- 製作年:2016年
- タイトル
- 鳩 Pigeon
- 監督:行定 勲
- キャスト:津川雅彦、 シャリファ・アマニ、 永瀬正敏、他。
- 製作年:2016年
- タイトル
- Beyond The Bridge
- 監督:ソト・クォーリーカー
- キャスト:加藤雅也、 チュムヴァン・ソダチヴィー、 重松 収、他。
- 製作年:2016年
- 上映時間
- 本編118分
- 公式サイト
- 作品紹介 アジアオムニバス映画製作シリーズ アジア三面鏡
『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』上映スケジュール
- 10月26日(日)14:55~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN7
- ※登壇ゲストの予定有り。
舞台挨拶:ブリランテ・メンドーサ(監督)、ルー・ヴェローソ(俳優)、行定 勲(監督)、津川雅彦(俳優)、シャリファ・アマニ(女優)、ソト・クォーリーカー(監督)、加藤雅也(俳優)、チュムヴァン・ソダチヴィー(女優)
Q&A:ブリランテ・メンドーサ(監督)、ルー・ヴェローソ(俳優)、行定 勲(監督)、津川雅彦(俳優)、シャリファ・アマニ(女優)、ソト・クォーリーカー(監督)、加藤雅也(俳優)、チュムヴァン・ソダチヴィー(女優) - 11月3日(木)10:50~
- TOHOシネマズ 六本木ヒルズ SCREEN1
- 料金
- 一般料金:1300円(税込)
- 学生料金:1000円(税込)
- 学生当日料金:500円(税込)
- チケット詳細
※詳細な上映スケジュールは、 スケジュール - 東京国際映画祭にて。
『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』予告編&オリジナルポスター
第29回東京国際映画祭の概要
2016年10月25日(火)~11月3日(木・祝)の10日間に渡って開催される「第29回東京国際映画祭」。日本唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭です。今年は六本木ヒルズに加えて、新たにEXシアター六本木もメインシアターとなり、オープニングセレモニー、クロージングセレモニーの開催をはじめ、コンペティション部門等が上映されます。
期間中は「東京 サクラ グランプリ」を選出する同映画祭のメイン部門である「コンペティション」をはじめ、日本未公開のエンタテインメント最新作をプレミア上映する「特別招待作品」、 独創的な日本のインディペンデント映画作品に焦点を当てた「日本映画・スプラッシュ」、 世界各国の話題作を取り上げる「ワールド・フォーカス」、 あるいはアジア(日本、中東地域を含む)で作られた新鋭監督の1本目または2本目の長編作品を対象にしたコンペティション部門「アジアの未来」などがあります。
アジア関連として見逃せないのが、国際交流基金アジアセンターが創設した「CROSSCUT ASIA」(クロスカット・アジア)部門です。アジア各地の監督、俳優、テーマなどに焦点を当て、アジアを鋭く切り取った珠玉の映画を紹介するアジア映画特集上映です。第3回目となる今年は、今年は「カラフル!インドネシア」と題して、究極の多様性を内包する国・インドネシアの映画が特集されます!
また、将来の映画産業を担うファンの創出とクリエイター等の人材育成のため、今年から中高生を主人公・主題とする映画の特集「TIFFティーンズ」と、小学生以下の鑑賞を想定した映画の特集とワークショップ「TIFFチルドレン」が新設されたことが目を引きます。
- 開催時期: 2016年10月25日(火)~11月3日(木・祝)
- 開催場所: 六本木ヒルズ:TOHOシネマズ六本木ヒルズ / 大屋根プラザ / ヒルズアリーナ(東京都港区六本木6-10-1)
EXシアター六本木(〒106-0031 東京都港区西麻布1丁目1-2-9)
東京国際フォーラム(〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-5-1) )、他。 - 主催: 公益財団法人ユニジャパン(第29回東京国際映画祭実行委員会)
- 共催: 国際交流基金アジアセンター(アジア映画交流事業)
東京都(コンペティション部門、ユース部門) - 公式サイト: 第29回東京国際映画祭
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