フィリピンの南部ミンダナオ島にあるコタバト市で祝われるシャリフ・カブンスアン・フェスティバルは、16世紀にマレー半島のジョホールから、当時のマギンダナオ王国にやってきてイスラム教を宣教したシャリーフ・ムハンマド・カブンスワン(Shariff Mohammed Kabungsuwan)を祝う、イスラム教の文化に根ざしたフェスティバルです。シャリーフ・ムハンマド・カブンスワは、地元のマギンダナオ人女性と結婚し、マギンダナオにイスラムのスルタン国を創立したことで知られています。
お祭りのハイライトは、ミンダナオ島で一番大きな川であるミンダナオ川 / Rio Grande de Mindanao で行われる「Guinakit」と呼ばれる華やかな水上パレード、クヨグ通り / Kuyog Street でのダンス ・パレード、コーランの詠唱コンテスト、シャリーフ・ムハンマド・カブンスワン到来の再現などです。
ちなみに、2006年から2008年までミンダナオ島マギンダナオ州北部が分離してにシャリフ・カブンスアン州(Province of Shariff Kabunsuan)という州がありましたが、この州名もシャリーフ・ムハンマド・カブンスワンに由来します。住民投票で発足した初のフィリピンの州でイスラム教徒ミンダナオ自治地域(Autonomous Region in Muslim Mindanao, ARMM)に属していましたが、2008年7月17日フィリピン最高裁は、シャリフ・カブンスアン州の創設の無効とARMMが州や市を創設するのは憲法違反だとする判決を下しています。現在はマギンダナオ州に属しています。